忘れ物を取りに、ふたりの選択と写真。

November 21, 2018

 

 

いただいたワッフルを持って

セッション後に訪れたのは、

大学の後輩のゆりっぺ邸。

 

早稲田の同じサークルで

青春をともに過ごした仲間。

 

今は売れっ子ライターで、

早稲田らしい土壌のせいか

私の周りは文章に携わる

仕事をしている友達が多い。

 

得てしてそんな職業だと

自分のことを書かれるのは

慣れていない気もするが。

 

ゆりっぺは強がりだけれど、

シャイで真面目で純粋で

とても優しい女の子。

 

出会った18歳の頃のまま、

そのイメージは変わらない。

 

 

 

ゆりっぺと同期のなっちゃんと

猫のおたまちゃんと鍋をつつく。

 

私はデザート担当として

ロールケーキとワッフルを。

 

 

 

別の日のゆりっぺと

おたまちゃんのツーショット。

 

もう20年の付き合いになるし、

幾度も寝食をともにしてるから

ほとんど感覚は家族に近い。

 

学生時代の友達は一生モノだと

先輩からよく言われていたのを

いまになって本当に実感する。

 

たとえ何があっても

何も変わらずに笑い合える。

 

そして何も持っていなくても

毎日がただひたすら楽しかった

学生時代の自分を思い出す。

 

 

 

そんなことを考えていたら

さすがの以心伝心なのか、

ゆりっぺが奥の棚から

膨大な数の写真を持ってきた。

 

その大半はサークルの合宿や

イベントで撮影したもの。

 

私達が所属していたのは

早稲田祭のライブステージを

企画、運営するサークル。

 

何かと理由をつけては、

もしくは単に開き直っては

授業もそっちのけで

暇さえあれば部室に行き。

 

年に一度の学祭へ向けて

ああでもないこうでもないと

時間を忘れて議論していた。

 

当時の思い出話に

しばらく三人で花を咲かせる。

 

大切な忘れ物を取りに戻って

過去の自分と出会い直すような。

 

懐かしいというよりも、

あの頃に取りこぼした感情を

味わい直す気持ちになる。

 

ゆりっぺからの思わぬ贈り物。

 

 

 

 

 

帰宅してから私も久しぶりに

自分の写真を引っ張り出した。

 

どの顔にも若さの不遜さと、

未来への無防備な自信があって

どの場面もよく覚えている。

 

人は記憶する生き物だと思う。

 

 

 

 

同じ20歳の頃の母と私。

 

典型的な箱入り娘だった母は

かねてから東京の大学への

進学を希望していたけれども、

父(私の祖父)の猛反対により

結局、仙台の短大へと進んだ。

 

卒業後、間もなく母は結婚して

21歳で上の兄を出産した。

 

かたや私はといえば、

父の反対を押し切って

なかば強引に大学を決めて

家出同然の形で上京した。

 

母が過去の自分の選択を

悔いていたのを知っていたから

私は絶対に同じ想いはすまいと、

心のどこかでずっと決めていた。

 

母の選択も私の選択も、

どちらが正しいということもなく。

 

こうして写真を並べると

それぞれに違う懸命さを感じるし

単純に母は綺麗だと思う。

 

これが私のコンプレックスで、

物心ついたときからこんな母が

そばにいると娘としては困る。

 

母の容姿を褒められる度に

自分の女性としての存在意義が

妙な角度でぐらつく気がした。

 

だからいまだに写真は苦手で

当時の写真も同期や後輩が

こっそり撮ってくれていた。

 

こんな風に色々とこじらせた、

面倒な私をよく周りは許して

愛してくれていると感謝しかない。

 

 

 

 

 

父は写真を撮るのが好きで、

もし女の子が生まれたら

愛と名付けると決めていた。

 

父が付けてくれた名前を

荷が重いし、柄じゃないと

うとましく思うこともあったが

いまは好きでも嫌いでもなく。

 

ただ、父と母の子供でよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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